希望

ふと思い出した。
23才頃に、ある方に、内ポケットに入る「 手帳 」をプレゼントした。
1000円位の安物の手帳を。
私が健康に携わる仕事をするきっかけになった出来事です。

お世話なっていた方が急に癌になった。
気がつくのが遅く、転移が酷く3ヶ月の余命と診断された。
お見舞いに再々行った。
いつも元気で、カッコいい人で、頼もしい人だった。
とにかく人望の厚い方だった。
毎日たくさんの方がお見舞いに来ていた。

いつもニコニコしていたが、ある日、僕だけになった。
「なんでこんな事になるんやろ。」
「身体が一番やな。」
「お前はこんな事になるなよ。」
と涙を流していた。

医者では無いけど、何とか治してあげたいと本気で思った。
けど何もしてあげれない自分の無力さを痛感した。
僕は「うん。」しか言えなかった。
僕も涙が止まらなかった。

それからずっと、何かしてあげれる事はないか考えてみたが、
自分がものすごく落ち込んでいて分からなかった。
だってもう余命が3ヶ月位しかないのに。

あっという間に2ヶ月が過ぎた。

また本人に「何か欲しいものは?」と聞いてみた。
とうとう何も返事が無かった。
もう骨と皮だけのようになっていた。
面影すらないような、別人に見える位に。

もし自分だったらとその夜も考えた。
何をもらったらうれしいか?もう時間が無い。
こんな状態で。こんな身体で。

明るくなってきた。

『そうや!来年の手帳や!!』スケジュールがいっぱい書き込めるように。

その日に、なんとか見つけた。
急いでいたので、包んでもらうのを忘れていた。

消灯がもうすぐだった。

病室に入り「来年の手帳を使って下さい。」と言って渡した。というより手の中に入れた。

個室にいた人がみんなビックリした。

「こいつ何考えとんや。」
「わかっとんか。」
「アホか。」
言われて無いけどはっきりわかった。

10秒位静まりかえった。

渡した手帳を胸に当て、涙を流していた。

気づいた人から号泣していった。

僕は泣かなかった。

僕だけ笑っていた。
ものすごい充実感のようなものを感じた。

お金も力も無い僕のプレゼントしたものは『 希 望 』

呼吸が続く限り、来年の手帳を持ち、希望を持って欲しいなと。

最後の最後まで絶対に絶対に諦めて欲しくなかった。
僕は本気で『 奇 跡 』を信じていたから。

3日後に亡くなりましたが、
家族の方から「ありがとうございました。」
と何回も何回も言ってもらえました。

病室にいた方からは一目置かれるようになりました。

この仕事をするきっかけになった出来事でした。

【2013/02/14 09:27】 |空縞 与秀(そらじま よしひで)

ずいぶん前のものですが、奈良市準倫理法人会 経営者モーニングセミナーで配ってもらう事にしました。

もしかして今なら………って思います。
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【2016/07/06 08:00】 | 未分類
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